ベアトリスさんから学んだこと。「平和活動="FUN"」という方程式

こんにちは、せとまゆです。

2017年、ノーベル平和賞を受賞したICAN。その事務局長であるベアトリス・フィンさんが、今年の1月、広島に訪問しました。

peaceboat.org

 

訪問中に広島の若者とベアトリスさんとの対話集会が開かれ、約340人が集まりました。私は「広島の若者としてこれまでの活動を報告する」枠で登壇し、高校生や大学生のみなさんと共に、活動発表ののちベアトリスさんと対話しました。

ベアトリスさんの基調講演、質疑応答、そして対話を通して私なりに感じたこと・学び取ったことをまとめてみます。

 

彼女が言ったことそのまま、というより、彼女の言葉の端々から受け取ったものを私なりに絵で描いてみました!という感じです。あしからず。

 

 

漠然とした「平和」を具体的な目標とTODOにしていこう

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”きっと、今目の前でやっていることが、なんとなく、平和につながってる。”

ぼんやりした感覚で、「いつかくる平和」を待つんじゃなくて、 自分からチャンスに手を伸ばそう。具体的に歩みを進める方法を考えてみよう。

例えば今日は何をした?明日は何をする?1年後までに何ができたらいいだろう、5年後、10年後は?

大きな目標を細かく砕いていく作業って、ビジネスの世界では当たり前かもしれないけど、それをこの「核廃絶」の分野で実際に、ICANというチームと様々な人・組織が連携しながらやってきた。

ものすごーくざっくり言うとこんな感じで↓

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やっていく道すじを考えてみると、HOW?の部分が常に問題になる。

じゃあ、次の手をどうやって打とう?

 

 

確立された方法論なんてない。常にクリエイティブであれ

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例えば「影響力のある人を巻き込む」ことが大事なのは、どんなキャンペーンでもそうだと思う。じゃあ「誰に対する影響力がある人が適切なの?」「その影響力のある人ってどんな人?具体的に誰?」「その人にはどういう声かけの仕方が有効なの?」・・・具体的に考えれば考えるほど、その答えは問いを目の前にした自分にしか出せないものになっていく。

今まで人類が到達できたことのないチャレンジをしているからこそ、明確な方法論なんてない。過去に重ねて来た道も、みんながその時のベストを選んできたとするなら、今私たちが選ぶベストはどの方法だろう?

知識や経験を、尊敬し尊重することは大前提として。進む方法、進む道自体は、結局進む本人が周りを巻き込みながら作っていくしかない。

じゃあどうやって周りを巻き込んで行こう?

何かコツはあるのかな。 

 

 

まずは自分ができることから、楽しみながら続けること

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誰かを巻き込みながらムーブメントを展開するためには、いくつかの秘訣がある。

・自分ができることを、楽しみながら続けること

 「全てを賭けてやりきる」と「全くやらない」の100% or 0%じゃなくて、できることを具体的に、できる範囲で続けていこう。見てる周りの人が「いいね!」を押したくなるようなHAPPY感が、自然に周りの共感を呼ぶ。
(へらへらハッピーでいようぜってことじゃなくて、ちゃんと自分ができることを決めてやっていく納得感や、続けるためには楽しい!FUN!って思える瞬間を大事にしていこうぜっていう。)

 

・一つ一つ進んでるよ、って前進感を共有すること

例えばこんな感じ↓

 「核兵器廃絶」っていう一見遠い道のりも、実は日々一歩一歩進んでる。後退してるかもしれない、って切ないニュースも世界には溢れてるけど、だからこそ「実は進んでる」この一歩一歩に注目して周りに伝えることがとっても大事なんだと思う。

「なにも進んでない、どうせ私が何したって変わらないんだ…」って落ち込むより、「あ、少しだけでも進んでるんだ、じゃあ次はこんなことができるかも!」っていう発想ができた方がきっと楽しい。FUN!

 

・否定的な意見は、一旦聞き流したらいいやって思うこと

後ろ向きなようで、実は前向きで効率的なこの秘訣。

そもそもどうやって巻き込む人を増やしていくか?って考えたら、自分と似た考えの人を巻き込んでアプローチできる人をじわじわ増やしていくしかない。とんでもないカリスマでもないし、鶴の一声でみんなが自分の意見に賛成してくれるなんて、実社会ではほとんど有り得ない話。

SNSは若者の強みになるけど、SNSで気軽にコンタクトが取れるからこそ、真っ向から意見だけじゃなくて存在まで否定されるようにな罵声も届いたりする。その人を自分と同じ考えになるように説得することに、労力と時間を割かなくてもいいんじゃないかな?

少しずつ周りに仲間が増えてきたら、その人も考えが変わるかもしれない。その人の考えが変わらなくても、現実は動いていくかもしれない。だったら現実を動かすために、届く範囲に声を届けるところから始めようよ。って話。

 

そして私が感じたこと

・「平和活動を楽しむ」っていう新鮮な感覚

私にとっても、そして多くの広島の若者にとっても、平和活動って「楽しいもの」という認識はあまりないんじゃないでしょうか。学校の「平和」についての授業は常に戦争の話、原爆の話をしていたし、コインの裏表のように、「平和」には凄惨で悲しい、苦しい「戦争の話」がつきものでした。「楽しむ」なんてむしろいけないことだという感覚さえあります。

だけどベアトリスさんの話を聞いていると、確かに、自分が息長く活動を続けるためにも、興味があるかもという人を巻き込んでいく上でも、「FUN=楽しい」っていう感覚はとても重要。

その前向きなエネルギーがあるからこそ新しく巻き込める層が確実にある気がします。

もちろん、ニコニコと原爆の話をすることなんてできません。
おちゃらけて戦争の話に触れて、誰かを傷つけることもしたくありません。

過去に起こった事実をきちんと見つめて向き合って、話をしてくださる方に敬意を持って接する一方で、「じゃあ、これからどうしていく?」という話をするときにはワクワクする気持ちを大切にしたい。

何よりも、実際にもっと世界をもっとよくするために。できることを続けるために。

 

・ベアトリスさんには、「敵」がいないんだなあ

 これは当日のやりとりの中でも、来日に合わせて安倍首相に面会を求めて「日程が合わず難しい」と断られたという報道を目にした時も思ったことです。

www.huffingtonpost.jp

核兵器をなくそう!」って思ってる人の「敵」って一体誰なんだろう。

あらゆる核兵器保有国?

特にたくさん持ってるアメリカやロシアの政府?

最近「脅威」と名高い北朝鮮?核開発の再開を打ち出したトランプ大統領

アメリカとの関係を重視して、核兵器禁止条約に反対する日本の政府?

核兵器を持っておこう!その方が安全だ!と声高に言う人たち?

・・・

安倍首相に面会を断られたベアトリスさんが、コメントで「次の機会に期待している」と言っていました。前後の文脈などなどメディアによって切り取られ方や、その結果の受け取られ方は様々だけれど、私は「ああ、核兵器禁止条約に反対してても、日本政府もベアトリスさんにとっては『仲間』なんだな、核兵器のない世界を作る上での。」って感じがしたんです。

それってとっても大事な感覚だなあと思って。

今「核兵器必要!!」って言う人たちも、根本の願いの「大切な人と、穏やかに幸せに暮らしたい」っていうのは共通なんじゃないかなと。

じゃあ、そういう世界作ろうぜって目標に向かうとすると仲間ですもんね。そのための具体案の一つが「核兵器をなくそう」で、私的になかなかこれは譲れないんですけど・・・。少なくとも「最終的に核兵器はない方がいいよね」「なくせるんなら核兵器なくしたいよね」は核保有国でもそうじゃなくても、世界中ほとんどの人の共通認識で。

じゃあ、それどうやって実現しよっか?

って話を一緒に考えるときに、「敵」はいないんだなあ。

 

って、目からウロコが落ちる感覚でした。

 

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世界の最前線で活躍する先輩のお話に、とっても刺激を受けました!という報告でした。

誰かの「一歩前へ」の原動力になったら、とっても嬉しいです。

 

(せとまゆ)